がんへの取り組み

がんへの取り組み

がん専門医として

外科医として癌(がん)の患者さんと向き合ってきて四半世紀が過ぎようとしています。
最近になって、ようやく自分なりの役割を見いだせそうな気がしています。
現在の医療は癌(がん)を治すことを主体に診察から治療の研究や開発が行われ、臨床へもその成果は還元されています。
確かに、医療技術の進歩に伴い、ガンの治療成績が上がっているのも事実ですが、25年前にガンが日本人の死亡原因の第1位になって以来、3人に1人がガンで亡くなっているのも現実です。
癌(がん)は非常に大雑把ではありますが「治るがん」と「治らないがん」、「治りにくいがん」に分類できます。
これらすべての癌(がん)に対して、一様に「治す」ための治療だけでは十分な対応は難しく、 「治らないがん」や「治りにくいがん」では癌(がん)に対する治療はもちろん、 症状をコントロールするための治療やケアも不可欠になってきます。 これらの癌(がん)に対しては治すことを焦るよりも、まずは症状をコントロールすることが重要です。
このような場合は、患者さんや家族の状況に合わせたきめ細やかな医療を提供する必要になります。これは大学病院や医療センターといった大きな施設では難しく、当院のような小規模の入院設備を有する施設が最も適していると考えています。

「がんになったらどのような治療を望みますか?」

このような質問をされたとき、あなたはどう答えますか?もちろん、「治るがん」の場合は「治して下さい」と答える方がほとんどだと思います。
医師としても「治すための治療」を提供できるのでほとんど迷うこともありません。
しかし、「治りにくいがん」や「治らないがん」の場合はいかがでしょうか? 「治して下さい」と頼まれても、快諾できる医師はほとんどいないでしょう。
「無理な治療はしないで、痛みだけ取って下さい」という答えを時に聞くことがありますが、医師にとってはこれも非常に難しい要求になります。
というのも、がんの病状が進行した結果でてきた症状ですから、その原因であるがんの病状をコントロールした方が症状のコントロールも容易になるからです。
そういった意味では、たとえ終末期であっても手術や、化学療法、放射線療法も有効なことがあり否定されるべきものではないと我々は考えています。「緩和外科」が対象とする患者さんでは症状のコントロールを主体に治療を始めることがほとんどですが、症状のコントロールとともに病状のコントロールを図ることで、場合によってはガン自体の治療に繋がる可能性があると考えています。
現実的は非常に困難かもしれませんが、われわれが考える究極の緩和医療はガンの治癒であり、最後まで希望を持てる医療を提供し続けたいと考えています。